池間島まるごと暮らしのミュージアム

セピアライン

第一回 イーヌブーと池間島の暮らし

     日時:2012年7月14日(土) 15:00〜17:00
     場所:池間島離島振興総合センター

美しい海と池間湿原に代表される自然環境、海洋民族の歴史と生活文化など未活用の地域資源を掘り起こし、基幹産業である漁業と島内の耕作放棄地を、観光業との連携による体験ツーリズム事業の導入により活性化させることを目的とし、島内の高齢者から小中学校の生徒たちまで、各世代の住民が集い、話し合い、情報や想いを共有する学びの場を提供するものとする。


◆第一回目のあらすじ

参加者は、小学生から80歳台まで50名。各世代がほぼ均等になるように6グループに分かれた。グループ内では、まず高齢者から、昔の池間湿原(イーヌブー)と暮らしのことなどを聞き、今の状況を話し合い、未来の池間島について考えた。各グル―プのポストイットトーキングの内容は、子どもたちから発表してもらった。

第一回 イーヌブーと池間島の暮らし 第一回 イーヌブーと池間島の暮らし 第一回 イーヌブーと池間島の暮らし


◆今後の予定

2回目は、琉球大学「風樹館」学芸員、佐々木健志先生を招き、池間湿原(イーヌブー)の観察を通して、湿原の現状と将来を考える。3回目は耕作放棄地とその利用についてのワークショップを行う。さらに、修学旅行生受け入れのためのモニターツアーを施行し、4回目のワークショップでは、ツアーの結果を含め、島内外の人たちで島の将来と可能性を話し合う。すべてのワークショップには、島の高齢者と子どもたちが参加するものとする。



◆運営進行表

時間 プログラム 内容 準備物等
PM 会場設営 ・会場設営、備品 ・8人×6テーブル
・ホワイトボード
・備品・文具等確認 ・模造紙(白)
・マジック(2色以上×5テーブル)
・ポストイット(大)
・スタッフ名札 
・掲示物、テーブル配布物 ・ワークショップ概要説明用模造紙
・テーブル配布用写真
14:30 受付 ・受付テーブルにて参加者確認
テーブル振り分け(A〜F)
・出席者名簿
 (テーブル毎に「氏名&通称」を記入できるように)
・席への誘導
15:00 開始挨拶

事業説明
・ホワイトボードに貼付けた説明用模造紙にて説明(紙芝居形式) ・事業の目的、進め方についてわかりやすく説明
・本日のワークショップの進め方について説明
15:20 ワークショップ 「イーヌブーと池間島の昔・今・将来」、A〜Fの6テーブルに分かれて実施 <進め方>
(1) イーヌブー・池間島の昔の話を聴く(15分)
 ※主に高齢者
・埋め立てられる以前の暮らしとイーヌブーとのつながりについて、高齢者を中心に話を聴く
(2) イーヌブーの今を話す(15分)
 ※主に子どもたち
・子どもたちに昔の話の感想を聞き、「今の生活とイーヌブーとの関わり」を話しあう
(3) イーヌブーと池間島の将来を話し合う(30分)
・これまでの話を受けて、子どもたちが大人になって、子育てをする10〜20年後に、イーヌブーや池間島がどうなっていれば嬉しいかを話し合う
16:20 結果発表 テーブルごとの発表
(3分×6テーブル)
・テーブルごとの結果を、模造紙を使って子供たちが発表
16:40 まとめと次回の説明 ・まとめと共有
・次回のワークショップの説明とお誘い(閉会)
・発表内容で出た共通の言葉、印象に残る言葉を共有
・質疑応答、感想を聞く
・次回の開催内容・目的を説明し、期待感を共有


◆各グループの発表内容

【Aグループ】

昔の暮らしとイーヌブー
・半農半漁の自給自足だった…男は漁、女は畑と、だいたい役割が決まっていた
・昼まで畑仕事をし、帰りはイーヌブーで、「おかず」獲りした
・イーヌブーにはサバニ(船)があった(イーヌブーからサバニかついで、外海に出たんだよ)
・子どもたちは、学校の帰りにイーヌブーに寄り、エビやカニをつかまえた。たくさん獲れた
・イーヌブーでは、エビ、ウナギ、テレピア、ガサミがいっぱいいた
・カメ(タイマイ)の養殖もやっていた。タイマイは靴べらや時計バンドなどの飾り物の材料になった。肉は食べた
・イーヌブーがあったから、裕福だった
・畑では、あわ、大豆、ひえ、麦、さつまいもなどを作っていた
・綿花や藍も栽培し、糸をつむいで、機を織り、藍で染め、衣類も自給自足だった(昔は、どの家からも機織りの音がしていたよ)
・調味料は塩と味噌。塩は海から、味噌は家庭の手作りだった(池間島独特の味だった)
・昔はホタルがいっぱいいた。窓から家の中に入ってくるくらい

現在の暮らしとイーヌブー
・健人(中2)の両親も桃勢(中3)の両親も、平良の会社に勤めている
・健人は、昔のイーヌブーの話しを聞くのは、今日がはじめて。昔より小さくなってるなんて知らなかった
・健人も桃勢も、イーヌブーには野鳥観察の授業で1度行っただけ
・畑で作られているのは、サトウキビだけ
・どこの家も畑をしなくなった(理由1・なんでも店で買える 理由2・畑をしていた人が年をとって、できなくなった)
・イーヌブーには水草と泥しかない
・鳥はいるけれど、そんなに多くはない。水草にかくれてよく見えない
・友達とヤビジに貝を採りに行く
・イラビジは人が多いが、貝やサザエ、魚が獲れる

そして未来
・昔のようなイーヌブーに戻したい
・イーヌブーで舟をこいでみたい
・湿原がもっときれいになって、鳥がふえるといい
・イーヌブーの周囲に木道を巡らせ、夜も歩けるようにして、ホタルや夜光虫の観察会がしたい。子どもが遊べて、環境教育の場にもなる

Aグループ Aグループ
Aグループ


【Bグループ】

島の昔の話をたくさん聞かせてもらいました。そして、今と昔、何が変わったか話し合い、どんな未来にしたいかを話し合いました

漁港になったイーヌブー

昔のイーヌブー
・イーヌブーは生まれた時からある
・橋が学校にいくためにかけてあった。橋は2か所にあった
・イーヌブーには毎日いっていた
・ワタリガニ、アラガニ、ガサミ、カニの種類がたくさんあった
・海から潮の流れがあり、カニやエビを獲って食べた
・深さはひざ下まで。潮が引けば濡れることはなかった
・海の幸をとるときは、弱い人を優先させた

昔の生活
・冷蔵庫がない時代。食べる分しか獲らなかった。余ったら隣近所にあげた
・畑仕事が終わると、イーヌブーでガサミを獲って帰った
・学校へは洋服で通った。教科書もきちんとそろっていた
・高校生になると平良に家を借りた
・カツオ漁が盛んな時期は、女性は畑でキャベツやイモなどを作った
・鰹節を削る家が多かった
・近所の人はみんな顔見知り

今のイーヌブー
  イーヌブーをなぜ埋めたか?―――――漁港をつくるためと台風対策

・いくらそうじをしてもきれいにならない
・海水が入ってこないので、エビやカニがいなくなった
・きれいだった海が汚くなった

今の生活
・鰹節を削ることもない。魚もあまり食べなくなった
・どこの子かわからない子が多い

未来
・昔を取り戻したい
・イーヌブーのカニやエビをもう一度食べたい
・仕事がたくさんあれば、若い人が帰ってくる。仕事を作れ
・子どもたちと交流する機会を増やすこと

感想
・昔のイーヌブーで、カニやエビなどを獲って食べてみたかった
・昔は昔、今は今、時代は変わっていくと思う
・イーヌブーを埋めたのはもったいない。昔の生活は楽しそうだと思った
・昔のことを話すことができてよかった
・昔の面影がないので、今日のように、おばあちゃんたちから聞かせてもらうのはいいことだと思った
・昔は、隣近所を大切にして、よその子どもも大事にして、いい時代だったと思う

Bグループ Bグループ
Bグループ


【Cグループ】

むかし―――
・ガサミとれた。オカガニも食べた。販売もしてた
・フツナジュー、ヌビー、ンギャナがいた
・アザンを炊いた。おいしいものとおいしくないものがあった
・ムヌガン、ガスガンなどカニはたくさんいた。ナマコや、コイに似たナガユーがいた
・エビ、サイガマ、ヌイジュー、トゥルナ、カタツムリ、ンーギー、ハンルナ
・トンボ、サシバも食べた。ミンナズゥ(うなぎ)を煮て食べた
・野鳥の卵をとった(ヌギャフラ)
・ノビルやムギャナ、ウ
・プッタラムーワ、ハンキマランータ

今―――
・鳥が少なくなった
・野鳥観察の学校で行ったが、草がぼうぼうだった
・陸地化が進んでいる
・入らなくなった(去年、インヌスウをとりに行ったが、その場所まで行けなかった)
・畑から水があるところまで、そうじのために行ったことがある(いかだを作って)
・草やどろがなかったら、おいしいものが食べられる(秀登の感想)
・食べるものが変わっている(まさひろの感想)

未来―――
・子どもたちが池間に帰って住めるようになったらいい
・昔のように食べ物があってほしい。自然再生してほしい
・子どもや若い人がいっぱいいてほしい
・今より暮らしが楽になってほしい
・コンビニがほしい

Cグループ Cグループ
Cグループ


【Dグループ】

Dフロート

Dグループ Dグループ
Dグループ


【Eグループ】

昔―――
・子どもの頃から、イーヌブーによくいっていた
・満潮のときは、胸のところまで水をたたえていた
・魚はウガンマイ、ナガユミ、テラピア、アカンチャ、ウンパンヌチャ(うつぼ)、アカタイ、アカンチャなど種類は多く、メダカやウナギもたくさんいた
・魚がいっぱいいたから渡り鳥もいっぱいいて、白鳥もきていた
・オカガニはおかずになった
・イーヌブーでは歩くたびにガサミがふんずけられた
・カニの種類では、ガサミ、ヌガン、バラタガン、イーヒャイマ、エビの種類では、スーティヌフジャイ、サイがとれた。エビは30センチくらいに成長したものもいた
・毎日のように畑仕事しながらイーヌブーにいって「おかず」の魚やエビをとった
・畑では農薬が使われてなかった。湿原のものを畑の肥料にしていた
・野菜はトゥルナ、ヒツナジュー、ミンナ、ヌイジュー、ンーギーのはなど
・いもの葉っぱもおかずになった
・昔は毎日清掃していたのでチリがなかった

今―――
・湿原は、昔は水がいっぱいだったが、今は水が減り、どろだらけになった
・今は道がわかりにくくなって湿原にいかなくなった
・食べ物がたくさんあって、好きな食べ物を食べられるようになったから、湿原にいかなくなった
・湿原でおかずになる魚、エビ、カニがほとんどいなくなった

未来―――
・ぽい捨てをなくし、ゴミ拾いをして、池間全体をきれいにしたい
・池間の昔の歌を子どもたちにつなげたい
・湿原で釣りが楽しめるようにしてほしい
・元のイーヌブーにしたい
・イーヌブーをきれいにして、多くの人に池間のイーヌブーを見に来てほしい
・イーヌブーにいろいろな店(ボートの貸し出しなどもする)ができてほしい
・教育や勉強では、隣組を活用する
・若い人たちが働ける仕事がほしい

Eグループ Eグループ スペーサー Eグループ
Eグループ


【Fグループ】

Fフロート

Fグループ Fグループ
Fグループ


◆まとめと言葉の共有(中村)

まとめ 短い時間で、言葉の数々が出ました。その中で、いろんなことがわかります。今日は、さまざまな意見を出してもらうことが目的でしたので、素晴らしい成果だったと思います。
どのグループにも共通していたのは、

  1 昔のイーヌブーは非常に豊かな環境だった
  2 カニやエビ、魚、鳥など種類も非常に多かった
  3 畑もイーヌブーも健康で、いい自然があった
  4 その中で、みんなが助け合いながら暮らしていた
  5 港ができて便利にはなったけれど、島で仕事がなくなってしまった

ということだったと思います。コンビニがなくて不便だという意見もある一方で、お店はなくてもいいという意見もありました。いろんな意見があっていいと思います。何が正しいかなんてわかりません。
ただ、未来については、みなさんが

  1 自然豊かで
  2 みなが助け合い
  3 島で仕事ができる

ということを望んでいるということがわかりました。将来は池間に住みたいという意見も多かったようです。
今日の感想や補足しておきたいという人はいませんか?

(中3の平良桃勢さんの発言)
今日は池間のばあちゃんたちと話し、イーヌブーのことや池間の昔の暮らしのことなど聞けてよかったです。次の回があれば、また参加して、もっと池間のことを知りたいと思いました。ありがとうございました。


ありがとうございます。2回目もあります。次は、専門家の先生と、イーヌブーをさらに詳しく勉強し、池間の自然や暮らしをどうしていけばいいのか考えましょう。今日はお疲れ様でした。

セピアライン

          第一回 イーヌブーと池間島の暮らし
          第二回 池間の自然を学ぼう
          第三回 いけまのイケ弁をつくろう
          第四回 じょーじょーはいんかい!畑へ行きましょう

セピアライン

事業名:食と地域の交流促進活性化対策・観光と連携した都市農村交流促進(グリーンツーリズム)事業
事業主体:池間島暮らしツーリズム協議会(池間自治会、すまだてぃ会、池間老人クラブ、NPO法人いけま福祉支援センター)

▲PAGE TOP  

Copyright © 2014 池間島まるごと暮らしのミュージアム
inserted by FC2 system