池間島まるごと暮らしのミュージアム

セピアライン

第四回 じょーじょーはいんかい!畑へ行きましょう

     日時:2013年1月26日(土) 9:00〜12:00
     場所:池間島離島振興総合センター

美しい海と池間湿原に代表される自然環境、海洋民族の歴史と生活文化など未活用の地域資源を掘り起こし、基幹産業である漁業と島内の耕作放棄地を、観光業との連携による体験ツーリズム事業の導入により活性化させることを目的とし、島内の高齢者から小中学校の生徒たちまで、各世代の住民が集い、話し合い、情報や想いを共有する学びの場を提供するものとする。



◆第四回目ワークショップの内容

参加者:池間小中学校生徒
      池間島の人々
      池間島で民泊をしている修学旅行生(大阪府河内野高校2年生)


【第一部】 はじめの話し合い〜畑では何がとれた?何食べてた?今、何食べてる?
        昔、池間島では、畑でどんな作物を作り、どんな食事をしていたか?
        修学旅行生や池間のこどもたちは、日頃、どんなものを食べているか?
        その食材が、どこから来るのか?
        それぞれのテーブルで話し合う。

【第二部】 じょーじょーはいんかい〜畑へ行きましょう
        これまで訪れた修学旅行生たちと協力し再生した畑に、サツマイモを植える。
        周囲の環境を見て、耕作放棄地について考える。

【第三部】 畑で昔ごはんを食べよう。
        池間で、昔から主食として食べられていたイモごはん、イモの葉っぱの和え物、旬のアーサ汁で、
        昔の池間の食を体感する。



◆【第一部】

一部 一部 一部

■はじめに (前泊博美)

みなさん、おはようございます。今日は、池間島に 来てくれた修学旅行のみんなと、池間島を知ろうというワークショップです。これまで3回、ばあちゃんたちから、池間の昔の話、イーヌブーや遊びの話を聞き、何を食べていたか聞いて、池間の食材でお弁当づくりなどをしてきました。今日は4回目のワークショップ。大阪の高校生は、池間でどんなものが作られ食べられていたかわからないと思うので、みんなで教えながら、みんなで畑にいって作業したいと思います。大阪の河内野ではお米つくってます?つくってない?池間では少し作っていたんですが、水田ではなく、陸稲。畑で作るお米でした。主食としてはおイモを作っていたんです。池間は漁業の島なので、魚もイカもいっぱいとれた。3回のワークショップを通じて、こんなものを食べたよ、こんな暮らしがあったよということを学んできました。今日は、そのまとめとして、大阪の高校生、池間のこどもたちと一緒に、池間の食について学んでいきたいと思います。まず、それぞれのテーブルで、昔の池間がこんなだったよということを、おばあから教えてもらってください。

■はじめの話し合い

話し合い (1) 池間の小中学生・大阪の修学旅行生・おばあたちがグループに分かれ、ともにテーブルにつき、「昔、畑ではどんな作物を作っていたか」「どんな食事をしていたか」話を聞いた。


○ 昔、どんな食べ物を畑からとってきて食べてた?

どんな食べ物

・おばあから昔はご飯にはおイモや粟や麦、ひえなどの雑穀を混ぜて食べるのが普通だったという話を聞いた。高校生たちは粟やひえを知らず、興味深そうに質問していた。
・今はもう作られていないが、かつてはふぎゃん(高粱)も作っていたこと、夜になると、ふぎゃんの姿がお化けみたいに見えて怖かったことなど、おばあが身振り手振りで話してくれた。

話し合い (2) 「池間のこどもたちは、何食べている?
「大阪では、何を食べている?

「その食材はどこからくる?」を話し合い、
ある日の食卓のメニューをそれぞれ紙に記入してもらった。
  おばあたちには、昔池間島で食べていたものを書いてもらった。

○ 大阪の高校生のある日のメニュー例

高校メニュー例

・食材は、スーパーから買っている
・その食材を誰が作ってどこから来るのかということは、わからない、考えたことがない、考えても意味がない、という意見が出された

○ 池間のこどもたちのある日のメニュー例

高校メニュー例

・食材はスーパーから買っている
・その食材を誰が作ってどこからくるかはわからない

○ おばあたちが食べていたもの
・おイモごはん・イモの葉っぱ・アダン・タチ汁・ホウレンソウの和え物・大根の煮物
・カツオ・魚・豆・アワごはん・麦ごはん・島ラッキョウ

・おばあたちは、畑でとれた作物と、漁でとれた魚を食べていた
・半農半漁の自給自足の暮らしをしていた

■昔の池間の食と比べてみよう

・昔の池間島では、食料がどこからくるのか、どうやってできるのか、みんなわかっていた。自分たちが食べるものは自分たちで生産していた
・今は、自分たちが食べるものを誰が作って、どこから来るのかわからない
・スーパーで何でも買えるというのは便利。自給自足なんて大変だと思う

等の意見がだされた。

■話し合いの後で (前泊博美)

池間島は昔はほとんど自給自足。安全な食物、健康な食物で長生き。元気に生きられる。
島は高齢化率が50パーセント。畑ができなくなってきた。島で食べるものがまかないきれなくなって、スーパーから買うようになってきた。もう一度、島で自給自足ができないかと、荒れている畑を修学旅行生たちと再生している。池間の主食はおイモだった。今日はおいもを復活させよう。前の修学旅行生が石ひろいをしてくれた場所におイモを植えよう。指導してくれるのは泊まっているお家のおばあです。



◆【第二部】

畑へ移動し、おばあの指導でみんなで紅イモの茎を挿す。うねに穴を掘り、茎を寝かし気味に植えていく。どのくらいの穴を掘るか、どんな風に土をかぶせるか、おばあが実演と指導し、池間の子どもたちと修学旅行生たちが一緒に一本一本植えていった。

畑作業 おばあのよく見といてよ 畑作業 こんなんで、イモできんやな
畑作業 それ、たてすぎやろ 畑作業 昔の池間の畑再生したい!
畑作業 自給自足ってやっぱり大変〜 畑作業 でも、たのしい〜!
畑作業 これ、全部サンゴ礁ってすごいやん 畑作業 ラッキョウ土かぶせてあげんといかんさ
畑作業 農作業、初体験。自給自足、できたらすごいね

紅イモの植え付けの次は、ラッキョウ畑の石ひろいと、土寄せ作業を体験。
畑にごろごろ残る「石」が、すべてサンゴ礁と知り、驚く高校生たち。



◆【第三部】

体験が終わり、畑で昔の池間ごはんをみんなで食べる。メニューは、イモごはん、んーぎー(イモの葉っぱ)の和え物、アーサ汁。

投票イモごはん、うまい!? 投票んーぎーはイマイチ人気なし

■池間昔ごはんを食べながら
(高校生)

・アーサ汁もイモごはんもサツマイモの葉っぱも初めて食べた
・素朴すぎる
・んーぎーの和え物はちょっと苦手
・アーサ汁おいしい
・大阪のごはんと全然違う
・自給自足って大変だなと思ったけど、自分が食べるものを自分で作れるってすごい

(おばあ)
・おイモ、久々に食べるよ
・つついたらもっともちもちしておいしいよ
・雨が降ったら、ぬいじゅう捕まえて食べたよ
・今は農薬使ってるから、食べない方がいいよ
・昔は調味料といったら酢と味噌ばかりだった
・昔は兄弟が10人くらいいたからね。畑の中にこども寝かせて農作業したよ
・戦争中は、昼間は空襲があるから、夜、畑で農作業をしたんだよ

(池間のこどもたち)
・イモごはん、食べたことない
・んーぎーは苦手

■お昼ごはんの後に (前泊博美)
みなさんには、池間の昔を少しだけ体験してもらいました。命を丸ごと食べることの素晴らしさを感じてもらったらと思います。池間の昔から食べられているおイモ。おイモって食べられている部分はおイモの部分だけだとおもっているかもしれません。でもこの島では葉っぱも茎も食べます。みなさんにはそれを食べてもらいました。人は生きもののまるごとを食べて生きているということを感じてください。私たちは食べ物の命を食べて生きているんです。みんなが植えてくれたおイモは、次にくる修学旅行生たちに食べてもらいます。

■まとめ
・池間のこどもたち、大阪の高校生たちに共通することとして、イモごはんやサツマイモの葉っぱなどは馴染みがなく、とまどいがあるようだった。
・池間のこどもたちも大阪の高校生も、ふだん食べる食材はほとんどスーパーで購入し、それがどこから来るのか、誰が作っているのか、考えたことはないということだった。
・池間では、昔、自給自足をしていたということに関して、実際に農作業を体験して、大変で面倒なことだという意見も多くみられたが、興味と関心をもつこどもらもいた。
・修学旅行生たちが再生する畑の作業に関わるということについては、興味を持ったようだった。
・周囲の藪の状態から畑を再生するということに関しても、興味を持つ生徒が多かった。
・暮らしの中で何が一番大切かという質問に対しては、「便利さ」という答えが多かった。
・修学旅行生たちにとっては、「コンビニのない池間島」に、よくも悪くもインパクトがあり、「橋の向こう側」に激しく関心を抱いていた。宮古島と池間島の客観的な位置づけ(歴史や地形、地理、産業など)を事前に周知するツールが検討される。
・今回のワークショップを通して、島のこどもたちと修学旅行生との間に交流が生まれた。島のこどもたちは、他県からくる修学旅行生たちとのさらなる交流を望んでいるという意見が見られた。

セピアライン

          第一回 イーヌブーと池間島の暮らし
          第二回 池間の自然を学ぼう
          第三回 いけまのイケ弁をつくろう
          第四回 じょーじょーはいんかい!畑へ行きましょう

セピアライン

事業名:食と地域の交流促進活性化対策・観光と連携した都市農村交流促進(グリーンツーリズム)事業
事業主体:池間島暮らしツーリズム協議会(池間自治会、すまだてぃ会、池間老人クラブ、NPO法人いけま福祉支援センター)

▲PAGE TOP  

Copyright © 2014 池間島まるごと暮らしのミュージアム
inserted by FC2 system